ささき動物病院

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イヌの消化器系の病気について (口腔の症例について3消化器系

口の周囲の疾患として、唇の炎症などがあります。
唇の炎症は、アレルギー、細菌の感染、真菌(カビ類)、顔ダニ(毛包虫)、免疫疾患、などの原因により、炎症を起こします。

構造的に、唇のひだが、垂れている犬種(バセットハウンド、アイリッシュセッター、アメリカンコッカースパニエル、セントバーナード等)は下唇に大きなひだがあり、食事のカスなどが溜まって細菌の過剰増殖がおこり、炎症が起こることがあります。
犬種の特性をしっかり把握し、常に口周りは清潔にすることと、唇の炎症の原因は、多様ですので、基礎疾患を見極めることが大切です。唇だけに限局しているのか(原発性)、他の皮膚病との関連、若しくは、免疫疾患の延長線上にあるのか(汎発性)、かかりつけの獣医師と、相談し診断します。
外傷、異物の刺入、やけどなどは早期治療が必要です。早急に獣医師の治療が必要です。
また、過度なよだれは、痛みを伴い、持続的な刺激がある可能性が、高いものです。特に舌(舌根部:舌の根元)に絡みついた糸などは、外見上、よだれを多く流し、唇内外の障害と判断しがちです。唇と口腔内の疾患の鑑別は重要です。

次回は、口腔の軟部組織、咽喉(のど)についてお話します。

イヌの消化器系の病気について (口腔の症例について2)消化器系

口腔内の疾患として、いくつかの症例を列挙します。

歯根膿瘍
犬歯や上顎の前臼歯に発生しやすく、熱や痛みがあります。
目の下が腫れ上がり、やがて膿が出るようになります。
抜歯、歯管治療(歯の内腔を除去し充填剤を入れる)、抗生剤の投与で治療。
歯の破損
歯が折れたりすること。抜歯、歯管治療をします。
不正咬合
アンダーショットは、上顎が下顎に対して短いことです。短頭種に関しては、正常とみなされる場合があります。
オーバーショットは上顎が下顎に対して過長なことです。
噛み合わせが悪く歯肉に干渉するなら、抜歯します。
乳歯の残り
永久歯との干渉があり、不正咬合になります。食べかすも詰まり、歯肉炎や歯周病の原因になります。抜歯して治療します。
歯肉の過形成
高齢犬、あるいは短頭種の高齢犬に見られます。口腔内の歯肉組織が歯を覆うようにして増殖します。レーザーで腫れを抑制したり、電気メスで切除することもあります。

次回は、口腔や、その周囲、咽喉など軟部組織についてお話します。

イヌの消化器系の病気について (口腔の症例について1)消化器系

口腔内の疾患として歯周病があります。
<歯周病>歯の構造として、深部に歯周靭帯があり歯槽骨を固定しています。また、歯周ポケットがあり、1〜2ミリの深さがあります。その周辺構造が、炎症をおこすことです。
重症になれば、ろう孔(化膿した管)を形成し鼻まで炎症をおこします。

原因:
歯石が沈着し、細菌感染をおこすことです。歯槽骨の不安定を招き、歯周靭帯のゆるみが発生し歯自体が脱落します。
予防:
歯磨きは、歯肉と歯槽の間のマッサージ、硬質ゴム製の適度な大きさのおもちゃを噛ませる。犬用の歯磨きで週1回磨く。
治療:
堆積した歯石はスケーラー(金属振動による破砕)によって取り除き、発熱によるエナメル質の障害を防ぐため水流をかけます。また再度、歯垢が着きにくくする為、研磨をします。炎症を起こした歯周ポケットは、抗菌剤入りの軟膏を注入し、歯根の炎症や、動揺を抑止します。それ以降は予防を心がけます。場合により抜歯、フラップ形成術により治療します。

次回も口腔症例をお話していきます。

イヌの嘔吐について消化器系

愛犬が食べ物を吐くことは、胃が食物を受け付けない現象。あるいは、消化器系、内臓系感染症(ウイルス、細菌)、中毒などの病気のサインでもあります。

胃腸など消化器管に異常がある場合。たとえば、異物を飲み込んで胃を刺激する。おおきな異物であれば、(ボール、石ころ、大きく硬い毛玉)などは、腸に移動し閉塞をおこし、腸閉塞。閉塞があれば、嘔吐が継続し症状が悪化します。手術が必要とされます。腸重責(腸が入り込んでしまう)などは、緊急の手術を施します。
感染症では、パルボウイルスなどは激しい嘔吐と下血をおこします。病原性細菌感染でも、嘔吐はよく見られます。嘔吐は、ある意味で体の防御反応でもあり、一過性に終わる場合がありますが、激しく嘔吐したり、血液やタール状のようなものが含まれたりした場合、嘔吐が持続したときは、重篤な病気のサインと考えます。
肝臓の病気では、肝炎、胆道疾患などで、嘔吐します。特に胆道閉塞は、胆汁色の嘔吐物がみられます。腎臓の病気では腎不全において、急性、慢性に限らず、嘔吐がみられます。これは、腎臓機能低下により血中窒素が上昇し、胃腸粘膜を刺激し嘔吐を誘引します。膵臓の病気では、腹部の激しい痛みとともに、嘔吐を伴います。

いずれにせよ、嘔吐は脱水と体液の電解質異常により、心臓に負担をかけることもあります。隠れていた病気も顕著になることもあります。
いずれにせよ、持続する嘔吐で、症状が著しいものは、獣医師の診断が必要になります。迷わずかかりつけの動物病院で相談しましょう。